【7】体調の悪さと人の優しさ | ◆◇王子の日常◇◆

【7】体調の悪さと人の優しさ

【2018年の1月に卵巣嚢腫の手術を受けました。
これは、その手術に至るまでのお話しです。】




8月6日に最初に診てもらった婦人科で子宮頚部ポリープと
左の卵巣の腫れを指摘されて、卵巣よりもポリープが気になった。
そのポリープの検査結果を知るまでにお盆があったために2週間かかった。

その間の体調が酷く悪かった。

声が出なくなった。かすれるというか低くなったというか
知り合いにも「声がおかしいね?」と指摘された。

喉が詰まるというか違和感があって、
吐き気がずっとあり、食欲がない。体がだるい。
冷房が強くないのに寒い、足先が冷たい。
当分、測ることのなかった血圧測定を再開して気づく脈拍数の変化
昼間でも60程度、夜間になると50台
以前は70台だったと記憶している。
若干だけど脈拍が少なくない??

私、甲状腺に問題があるのかな?
また検索しなきゃいいのにネットで調べる。
症状が当てはまるくらい当てはまる?

しかし、私の頭はもうポリープのことで一杯。
ここで甲状腺の異常が見つかったとしたら・・・
その現実を受け止められる自信がなかった。

いやいや、きっとかなりのストレスで自律神経が
おかしくなっているんだ。そうだ。

そんな風に思いながら過ごした。


MRIの結果が気になる。
一日が早くて長い。

少しでも気を紛らわそうとお笑い番組ばかりを録画をして見るが
笑えない・・・
大好きな動物番組も見たくない。医療系のドラマが始まると
チャンネルを変えた。


ある日、メガネの修理で繁華街のモールに行った。
待ち時間をベンチに座り、ぼーとする。
歩いている人がみな幸せそうに思えた。
自分だけが不幸のどん底にいるような・・・
ただただ、道行く人を見ていた。
ふと、隣の席に70代くらいの女性が座った。
なにやらカバンから刺繍糸をだし、仕分け作業のようなことを
始めたようだった。

話しかけたい衝動に駆られた。
いや、迷惑だよ、駄目だよ・・・
でも、優しそうな雰囲気についに話しかけてしまった。



「刺繍、されるんですか?」

「あーそうなのよ、もう学生のころからだから何十年かしらね~。
このバッグにしてるのがそうなの、生徒さんにも教えてるのよ」

「長年続けられることがあるのは素敵ですね」

「でも、この年だからね~いろいろとあったのよ~」

「そうなんですか・・・私も今色々の最中で・・・
ポリープが見つかって検査結果待ちなんです・・・」



自分の病気のこと母の介護のことあれこれ初対面の
見ず知らずの方に話した。
その女性は、優しく頷き話を聞いてくれた。



「そうなの・・・私もね何年前かしら、同じようなことがあって
検査の結果、黒でも白でもなくグレーだって言われて結局
手術してみたら白だったのよ~
いろいろ考えて落ち込んだけどね。
それまでも介護なんかで大変だったしね。でもね、
もう、自分の好きなことしよう!我慢ばかりしないって
決めたの。自分の人生だからね~。
あなたは、まだ若い。自分の好きなこと時間を見つけて
しなきゃダメ。大丈夫!きっと大丈夫だから。
あっ!時間!ごめんなさいね。もっと聞いてあげたいけど
姉と約束してるの。元気を出しなさい!大丈夫だから!」



手を振り小走りに去ってゆく姿を見送った。

涙が止まらなかった。
こんな優しいひとがいる・・・。
もう二度と会うことはないだろう。
名前もどこに住んでいるかも何も、何もわからない。

だけど、叶うならもう一度会ってお礼が言いたい。
そして、私も誰かの力になれる人になりたい。