◆◇王子の日常◇◆ -5ページ目

【9】脳神経内科へ

【2018年の1月に卵巣嚢腫の手術を受けました。
これは、その手術に至るまでのお話しです。】



2017年10月10日 S病院の脳神経内科を受診。


この日はかなり待った。半端なく待った。
私の番が来るまで3時間以上は待った。



「8年前に左半身の異常に気が付き、近所の脳外でMRIを
撮ってもらうと一部血管が見えないところがあるから
総合病院へ行って精密検査を受けるように言われた矢先に
左側の顔の感覚が無くなった感じがしたので救急車を呼ぶと
脳の専門医へと搬送されました。
脳梗塞を疑われましたが、梗塞は見つかりませんでした。
しかし、やはり血管の映らない場所がある。とのことで
10日間の入院。一過性脳虚血障害と診断されました。
この日から予防のためにプラビックス(抗血栓薬)を
服用することになりました」



などを、割と早口に話すと。
うんうん、とうなずきながら
若い男性医師は見事なブラインドタッチで打ち込んでいく。
ほれぼれとする指捌きだった。



「そのとき、あなたの血管ボロボロですよ、
70代の人よりも酷いと言われました」と言うと

「そりゃ、大変ですね~頸動脈のところから動脈硬化の
度合を調べる検査をしましょうね~大丈夫ですからね~
全然痛くない検査ですよ、エコーですからね~」

「それから脳のMRIを撮ってきてね~○○病院とか
○○病院とかあるけどどこがいい?車じゃないの?
じゃ、交通の便がいいとこがいいよね~じゃ○○病院ね、
紹介状持っていってね~いますぐ準備しますからね~」



とてもフランクな医師だ。
目の動き、握力などを簡単に調べて
「OK、OK大丈夫~。じゃ、次回結果を聞きに来てね~
お大事にね~^^」



なにか、気持ちが明るくなるような医師だった。
そんな調子だったから、このあと要らぬことを言い出すのだ。



脳神経内科のあと、婦人科へ

婦人科で「脳神経内科はどうでしたか?」と聞かれ
病気と全く関係のない、

「先生のブラインドタッチがすごかったです♪^^
スピードがとても速くて~」と
アホなことを言った。

「そんなに早いの~へぇ~」と答えてくれたが・・・

あ・・・まずい・・・と思い

「私なんて、何年も触っているのに、いまだに全然上達しなくって~
嫌になりますよ~」と焦って言ったが・・・

悪気ないです・・・ごめんなさい
そのあと電子カルテ打ち込むのスピード意識してるぽい空気が・・・

因みに普通のスピードです。遅いわけではありません。
私なんてめちゃくちゃカメさんです・・・

卵巣MRIの検査結果が出て、ちょっと気持ちが軽くなっていた。
失言だった・・・


医療費 ¥4750-

【8】卵巣MRI検査結果

【2018年の1月に卵巣嚢腫の手術を受けました。
これは、その手術に至るまでのお話しです。】



2017年9月29日S病院婦人科へ



結果を聞きに行きたくない逃げたい
怖い怖い怖い・・・
喉はカラカラ心臓がドキドキする。

もう、恐怖が限界で一人じゃ行けない
友達についてきてもらう。
私はどうしてこんなにも怖がりなのか・・・自分でも驚いている。
性格なのか精神の病気のせいなのか?
それでも過去に数回は悪性を疑われるような検査をしたことがあるが
全て、開業医のところなので緊迫した気持ちにならなかったのであろうと推測。

いつものように長い待ち時間なのに短く感じた。
私の番号が点滅した。
足取りがフワフワする。膝に力が入らない
診察室に入り促され座る。


先生の顔の表情が気になる。


「先日の検査結果ですがー」



きた・・・。



「良性と思われます。」



あぁ・・・

その瞬間、私は泣いた。
大人なんだけど泣いた。
しばらく涙がポロポロと出た。


「先生、ごめんなさい。私すごく怖くて・・・怖くて・・・眠れなくて」


医師は頷いていた。優しい。



「ただし、あくまでも現段階です。
手術して病理で調べないと断言はできませんよ」



良かった・・・。
体の力が抜けた。



MRIの検査結果のプリントと血液検査結果のプリントをもらった。



【左卵巣に77×47×43mm大の多房性嚢胞病変を認めます
この部分の造影効果は非常に淡いです。
この充実性部分の内部にも小さな嚢胞が多発しており、
嚢胞腺線維腫を疑います】

沢山の種類があるらしいのだけど
大まかに分けると、

漿液性嚢胞腺腫
さらさらの液体が溜まった腫瘍で全卵巣腫瘍の15~25%を占めます。

粘液性嚢胞腺腫
粘液が溜まった腫瘍で全卵巣腫瘍の5~30%を占めます。
30㎝を超える大きさに成長することもあります。

皮様嚢腫(成熟嚢胞性奇形腫)
脂肪、髪の毛、歯などが溜まった腫瘍で全卵巣腫瘍の15~25%を占めます。
あらゆる年代に見られますが20-40代に多く見られ、
妊娠をきっかけに見つかることも少なくありません。


私のは、粘液性嚢胞腺腫だろうということ。




腫瘍マーカー
CEA<0.2
CA19-9 7.7
CA125 20.6

すべて、正常値



よく見ると甲状腺ホルモンの検査の項目もあった。正常値だった。
ネットで甲状腺の病気の症状とかなり当てはまっているのに
こうして、そうじゃないという結果が出る。
ネットの情報に気持ちが振り回されて恐怖感が煽られる。
検索してはいけないと思っていても
何かしら安心材料を求めてネットで情報を得ようとするが不安感を拭うことは出来ない。

6年ぶりの血液検査だったけど、どの項目も正常値だった。
コレステロールも中性脂肪も血糖値も全て
本当に全く悪くない。 不思議だ・・・。
むしろ若い時の方がコレステロールも高かった。



友達と院内にあるドトールでお昼を食べる。
久しぶりにちゃんとした食べ物がのどを通る。
精神的なことでこんなにも食欲が変わるなんて。

友達が「良かったね~本当に良かった。」と
自分の事のように喜んでくれた。
彼女とはもう30年以上の付き合いだ。
手を骨折した時にもシャンプーや買い物を手伝ってくれた。
でも、彼女はここの患者さん・・・
数年前に手術をして、今現在も病と闘っている。




今後のこと。
脳MRIと動脈硬化の検査を受けて
手術が可能か調べなければならない。
プラビックス(抗血小板薬)を休薬しても大丈夫な状態か否か。
次回、院内の脳神経内科を受診することに。



医療費 ¥220-

【7】体調の悪さと人の優しさ

【2018年の1月に卵巣嚢腫の手術を受けました。
これは、その手術に至るまでのお話しです。】




8月6日に最初に診てもらった婦人科で子宮頚部ポリープと
左の卵巣の腫れを指摘されて、卵巣よりもポリープが気になった。
そのポリープの検査結果を知るまでにお盆があったために2週間かかった。

その間の体調が酷く悪かった。

声が出なくなった。かすれるというか低くなったというか
知り合いにも「声がおかしいね?」と指摘された。

喉が詰まるというか違和感があって、
吐き気がずっとあり、食欲がない。体がだるい。
冷房が強くないのに寒い、足先が冷たい。
当分、測ることのなかった血圧測定を再開して気づく脈拍数の変化
昼間でも60程度、夜間になると50台
以前は70台だったと記憶している。
若干だけど脈拍が少なくない??

私、甲状腺に問題があるのかな?
また検索しなきゃいいのにネットで調べる。
症状が当てはまるくらい当てはまる?

しかし、私の頭はもうポリープのことで一杯。
ここで甲状腺の異常が見つかったとしたら・・・
その現実を受け止められる自信がなかった。

いやいや、きっとかなりのストレスで自律神経が
おかしくなっているんだ。そうだ。

そんな風に思いながら過ごした。


MRIの結果が気になる。
一日が早くて長い。

少しでも気を紛らわそうとお笑い番組ばかりを録画をして見るが
笑えない・・・
大好きな動物番組も見たくない。医療系のドラマが始まると
チャンネルを変えた。


ある日、メガネの修理で繁華街のモールに行った。
待ち時間をベンチに座り、ぼーとする。
歩いている人がみな幸せそうに思えた。
自分だけが不幸のどん底にいるような・・・
ただただ、道行く人を見ていた。
ふと、隣の席に70代くらいの女性が座った。
なにやらカバンから刺繍糸をだし、仕分け作業のようなことを
始めたようだった。

話しかけたい衝動に駆られた。
いや、迷惑だよ、駄目だよ・・・
でも、優しそうな雰囲気についに話しかけてしまった。



「刺繍、されるんですか?」

「あーそうなのよ、もう学生のころからだから何十年かしらね~。
このバッグにしてるのがそうなの、生徒さんにも教えてるのよ」

「長年続けられることがあるのは素敵ですね」

「でも、この年だからね~いろいろとあったのよ~」

「そうなんですか・・・私も今色々の最中で・・・
ポリープが見つかって検査結果待ちなんです・・・」



自分の病気のこと母の介護のことあれこれ初対面の
見ず知らずの方に話した。
その女性は、優しく頷き話を聞いてくれた。



「そうなの・・・私もね何年前かしら、同じようなことがあって
検査の結果、黒でも白でもなくグレーだって言われて結局
手術してみたら白だったのよ~
いろいろ考えて落ち込んだけどね。
それまでも介護なんかで大変だったしね。でもね、
もう、自分の好きなことしよう!我慢ばかりしないって
決めたの。自分の人生だからね~。
あなたは、まだ若い。自分の好きなこと時間を見つけて
しなきゃダメ。大丈夫!きっと大丈夫だから。
あっ!時間!ごめんなさいね。もっと聞いてあげたいけど
姉と約束してるの。元気を出しなさい!大丈夫だから!」



手を振り小走りに去ってゆく姿を見送った。

涙が止まらなかった。
こんな優しいひとがいる・・・。
もう二度と会うことはないだろう。
名前もどこに住んでいるかも何も、何もわからない。

だけど、叶うならもう一度会ってお礼が言いたい。
そして、私も誰かの力になれる人になりたい。